誰でもなる「老眼」

見にくい ヒトの目の中のレンズ(水晶体)は生まれてから徐々に硬くなります。このため40歳頃からピント調節能力が低下してきます。これをいわゆる「老眼」といいます。
 「近眼の人は老眼にならない」などといわれることもありますが、これは間違いです。近眼の方でも遠くを見るためのメガネをかけた状態では手元が見えにくくなるはずです。

白内障も老眼も治る「多焦点眼内レンズ」とは

単焦点眼内レンズとの違い

 白内障などの手術では濁った水晶体を取り除き、代わりに「眼内レンズ」と呼ばれる人工のレンズを入れます。
 現在ヨーロッパでは白内障手術を受ける方のうち、10~15%の方が「多焦点眼内レンズ」と呼ばれる眼内レンズを選択しています。
 当院では白内障手術を受ける方のうちおよそ4%の方が多焦点眼内レンズを選択しておりました。一般的な割合に比べ少ないのは、やや保守的な(慎重な)選び方をするからかもしれません。
 通常の眼内レンズは「単焦点眼内レンズ」と呼ばれ、遠くか近く(あるいは中間)のどこか一箇所にしか焦点が合いません。このため、手術後にはいわゆる「老眼」になります。
 多焦点眼内レンズの場合、遠くも近くも中間(パソコン画面など)もある程度見えます。

見え方の違い(シミュレーション)

単焦点眼内レンズ ・ ピントは遠く

 遠くは良く見えますが、手元はピントが合いません。多くの場合老眼鏡が必要になります。

単焦点眼内レンズのピントを遠くに合わせた場合

単焦点眼内レンズ ・ ピントは手元

 手元ははっきり見えますが、遠くはピントが合いません。中間もぼやけます。
 もともと近眼の強い人を除き、遠くを見るための眼鏡が必要になります。

単焦点眼内レンズのピントを近くに合わせた場合

多焦点眼内レンズ(イメージ)

 メガネをかけなくても遠くは良く見え、手元の文字も読めます。中間距離も見えています。

多焦点眼内レンズ(リズーム®)の場合

当院で採用している多焦点眼内レンズ

サルコフレックス
 Sulcoflex Trifocal®(サルコフレックス®)

 追加挿入用に開発された三焦点眼内レンズです。
 多焦点眼内レンズはどのモデルでも「合わない人」が一定の割合で存在します。
 かすむような見え方や光のにじみが気になるといった症状のためです。
 このレンズはまずは単焦点眼内レンズでの手術(保険適応)をし、足りなければ追加で入れるように開発されました。
 合わない場合は取り出せば元の単焦点眼内レンズでの見え方に戻ります。
 取り出しも通常の眼内レンズの入れ換えより安全ですし、そもそも患者さん自身が単焦点と多焦点のどちらのレンズも経験できるため、選択しやすいと言えます。多焦点眼内レンズを単焦点眼内レンズに入れ換え、やはり多焦点眼内レンズの方が良かったということを避けられます。
 昔手術を受けた人も目の状態が合えば使用することが可能です。
 乱視矯正機能はないので、単焦点眼内レンズでの手術の際にしっかり乱視を矯正することが重要です。当院では手術を受ける方の約4割に乱視矯正機能付き単焦点眼内レンズを使用しております(保険で自己負担額は通常のレンズと同額)ので、ご安心ください。

このページのトップに戻る