誰でもなる「老眼」
ヒトの目の中のレンズ(水晶体)は生まれてから徐々に硬くなります。このため40歳頃からピント調節能力が低下してきます。これをいわゆる「老眼」といいます。
「近眼の人は老眼にならない」などといわれることもありますが、これは間違いです。近眼の方でも遠くを見るためのメガネをかけた状態では手元が見えにくくなるはずです。
白内障も老眼も治る「多焦点眼内レンズ」とは
単焦点眼内レンズとの違い
白内障などの手術では濁った水晶体を取り除き、代わりに「眼内レンズ」と呼ばれる人工のレンズを入れます。
現在ヨーロッパおよびアメリカでは白内障手術を受ける方のうち、5~15%の方が「多焦点眼内レンズ」と呼ばれる眼内レンズを選択しています。
当院では白内障手術を受ける方のうちおよそ1%の方が多焦点眼内レンズを選択しています。一般的な割合に比べ少ないのは、やや保守的な(慎重な)選び方をするからかもしれません。
通常の眼内レンズは「単焦点眼内レンズ」と呼ばれ、遠くか近く(あるいは中間)のどこか一箇所にしか焦点が合いません。このため、手術後にはいわゆる「老眼」になります。
多焦点眼内レンズの場合、遠くも近くも良く見えます。
見え方の違い(シミュレーション)
単焦点眼内レンズ ・ ピントは遠く
遠くは良く見えますが、手元はピントが合いません。多くの場合老眼鏡が必要になります。

単焦点眼内レンズ ・ ピントは手元
手元ははっきり見えますが、遠くはピントが合いません。中間もぼやけます。
もともと近眼の強い人を除き、遠くを見るための眼鏡が必要になります。

多焦点眼内レンズ(当院で使用しているリズーム®でのイメージ)
メガネをかけなくても遠くは良く見え、手元の文字も読めます。中間距離も見えています。

メガネがいらない人、92%
アメリカでの臨床試験では、多焦点眼内レンズを挿入した方のうち実に92%もの方が
「まったくメガネを使用しない、もしくはほんの時たまメガネを使用する」と答えています。

当院で採用している多焦点眼内レンズ

現在厚生労働省の認可を得た多焦点眼内レンズは4種類ありますが、当院ではReZoom®(リズーム®)とTECNISmultiアクリル®を採用いたしました。
また、厚生労働省の認可は得ていませんが、ヨーロッパでCE認定を受けているAcriLISA®(アクリリサ®)というカールツァイス社製のレンズも採用しております。
リズーム®は
遠くが単焦点眼内レンズと同じようにはっきりと見え、中間も見えるのが特徴です。
反面、直射日光の下で本を読んだりなど、極端に明るいところでは瞳が小さくなるため、手元が見にくくなります。
TECNISmultiアクリル®は、遠くと手元がはっきりと見えますが、パソコン画面などの中間距離はやや見えにくいという特徴を持っています。
アクリリサ®はTECNISmultiアクリル®に似た特徴を持ちますが、より強度近視の方にも対応できます。
それぞれに特徴があり、向き不向きがあります。
術前に慎重にお話したうえでどのレンズを使用するか決定いたします。